村上龍大好き

コインロッカー・ベイビーズ(上) (講談社文庫)

コインロッカー・ベイビーズ(上) (講談社文庫)

コインロッカー・ベイビーズ(下) (講談社文庫)

コインロッカー・ベイビーズ(下) (講談社文庫)

初めて読んだ村上龍作品。何箇所かある、キクが走る・跳ぶシーンの描写にさすがに天才と目されるだけ作家だけあるなと納得させられる鮮烈さを感じるものの、「限りなく透明なブルー」同様あまりにもいかれポンチな主人公とそのご一行様に共感を感じえずなんとなーく自分は村上龍には向いていないのかな、と残念な思いが残る。

そして次に読んだのが、以前エントリで書いた「限りなく透明なブルー」村上龍はこれっきりにしようと思った。


が、

半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)

半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)

半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)

半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)

キューバに行ったときに、成田空港の書店で買った本作。一言で言うと非常に面白かった。主人公(誰?)ご一同様の理解不能ぶりは前に読んだ2作と大差ないものの(あるいは大分ましかも)、この作品ではそれを取り巻く世界の持つリアリティ故に、世界観全体としては受け入れられる気がしました。何より、数少ない好きな作家の一人である福井靖敏氏と同じ種類の、前面に出まくった作者の思想が小気味良いのです。


五分後の世界 (幻冬舎文庫)

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

ごく最近読んだ。戦闘の描写とか音楽の描写とか、筆が冴えまくってもうすごいことになってます。

「半島を出よ」とは逆に、世界はあくまでも架空のものである一方、主人公が比較的普通の人。少なくとも表向きは。主人公が「5分後の世界」に対して感じることのうちのある部分は、作品世界に対して読む人誰もが感じるはずで、そのせいか、終盤あと少しでお話が終わってしまうという事実がなんとなく残念に感じられた稀有な作品。個人的ベスト小説である「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」以来かも。


というわけで、今も「愛と幻想のファシズム」読んでます。これもまだ上巻なのに盛り上がってるよー。